教区報

主教コラム

ほそ道から 第4回「終わりの始まり」

5月24日(木)、長谷川司祭、竹石教務所主事、吉田憲子姉の4人で福島県白河市に向かいました。白河行きの目的は、昨年の教区会で基本財産処分が決議された、白河基督聖公会の礼拝堂聖別解除式を行うためでした。

 

教区史を紐解いてみますと、1917年にマキム主教が伝道説教のために白河に来られ、1931年に本格的な宣教活動が始まっています。そして4年後の1935年には教会として活動を始めています。また1968年には現在地に、新しい礼拝堂が奉献され、希望に満ちた歩みを始めました。しかし、残念なことに教勢は期待されたようには伸びなかったようです。白河に関わられた信徒や聖職の皆さんには申し訳ないことですが、この地における宣教活動は断念せざるを得ませんでした。

 

訪れた白河基督聖公会は、白河小峰城址を東に望む閑静な住宅地の中に、静かにたたずんでいました。聖堂周りの広い敷地には、春の草花が美しく咲き乱れています。

 

その静けさの中で、聖別から満50年を迎えたこの聖堂での、最後の聖餐式の準備をしました。そして在りし日のこの聖堂での礼拝に思いを巡らせつつ、この聖堂から御国に旅立っていかれた信仰の諸先輩方との聖徒の交わりを感じつつ、聖餐をお献げしました。陪餐後の祈りに続いて、「礼拝堂聖別解除式」を行い、感謝とともにこの聖堂・祭壇などの聖別解除を願いました。

 

礼拝堂聖別解除というのは、私自身の経験の中では、新しい礼拝堂建築のために行われたものでした。ですから完全に礼拝堂を閉じてしまうという、このたびのような経験は全く初めてでした。

 

しかしこれは終わりではなく、新たな始まりにしたいと願います。神様と隣人に仕える新たな宣教活動の礎として、この地での経験を、別の場で用いていきたいと思います。

教区主教

 

あけぼの2018年7月号