教区報
主教コラム
欅並木から 第19回「祈祷書改正へ向けて歩み出します」
6月に開催された日本聖公会第62(定期)総会では、大切な議案の一つとして祈祷書改正委員会設置の件があり、可決されました。今回突然ではなく、2年前の総会で準備委員会が立てられ、基礎的な検討を経て今回の正式な委員会設置となったものです。新しい祈祷書発行の見通しは2024年、8年後です。随分先とも感じますが、これはかなり短期間の作業と言えることで、相当集中していくことが求められます。
1990年、現在の祈祷書に変わる時には一般的には「文語」から「口語」へという言い方がされました。確かに目立つ変化であったかとは思いますが、改正のポイントは、従来以上に「教会が共同体であること」「信徒の参与」「世界に向かって開かれた宣教的な姿勢を持つこと(代祷の形等)」「感謝と賛美の強調」「従来以上に量的にも豊かな聖書朗読(旧約聖書朗読を加え、3年周期で朗読を配分)」といった強調点がありました。それらのことは基本的には変わらないことです。しかし歴史的などのような祈祷書でも完全ということはありません。それぞれの礼拝式の歴史、内容、神学(教会としての姿勢)、表現等を吟味し、21世紀を歩む日本の教会としてふさわしい祈祷書となるように、その意味では不断の努力が必要なのです。
2年間にわたった準備委員会は、「日本聖公会の祈祷書とは、信仰と生活を共にする人が、神に造られ、いのちを与えられた民として、キリストと共に旅路を歩んでいくために用いる祈りの書」と定義しました。当然のような表現ですが、全体に神の創造といのちの尊厳への眼差し、信仰が生涯の旅路であること、といった視点が含まれています。東日本大震災の経験も直接にではありませんが、反映していると感じます。わたしも担当主教となっています。丁寧な歩みとなるよう、どうぞお祈りいただければ幸いです。
(教区主教)
あけぼの2016年9月号